USB Type-Cとは?
USB Type-Cは、USBの次世代規格「USB 3.1」で制定された最新のUSBコネクタ規格で、急速充電、高速データ転送、映像伝送に対応しています。
2021年以降、USB Type-Cポート搭載の新しい機器が続々と登場しており、MacBookシリーズや最新のノートパソコンはもちろん、iPadなどのタブレット、Xperiaなどのスマートフォンにも搭載しています。さらに注目すべきは、2023年9月に発売されたiPhone 15シリーズにもUSB Type-Cポートが搭載され、その便利性と統一性がさらに拡がっています。
EU(欧州連合)は2024年までに全てのデバイスの充電端子をUSB Type-Cに統一するという法案を可決しました。この動きは、技術の統一と、無駄な電子廃棄物の削減を目指す環境保全の努力の一環として受け止められています。 将来的にUSB Type-Cはますます普及するでしょう。パソコンやタブレット、スマートフォンなどのコネクタがUSB Type-Cに統一されることで、機能面・利便性の大きな向上が期待できます。
目次
上下・左右の区別がない、シンメトリーなデザインのコネクタ
USB Type-Cコネクタは上下左右対称なデザインを採用しています。コネクタの挿し込み口がリバーシブルになり、どちらの向きでも挿し込むことができます。従来のUSB Aコネクタで頻繁に起こっていた、「上下反対向きだったため挿さらない」という問題は、Type-Cコネクタでは起こりません。
他のコネクタとの比較
ホスト側もデバイス側もType-CコネクタでOK!
従来のUSBコネクタはホスト側がAコネクタ、デバイス側がBコネクタに接続するというルールがありましたが、Type-Cコネクタではホスト側もデバイス側も同じType-Cコネクタを使用することができます。
また、USB Bコネクタについては、通常のBコネクタのほかにミニBコネクタ、マイクロBコネクタなど様々な種類の規格が混在しており、USB搭載機器に合わせて異なるコネクタのケーブルを用意する必要がありました。Type-Cコネクタの場合は、1つのコネクタのみに統一されているので、1本のUSBケーブルだけで全ての機器に接続できます。複数のケーブルを持ち歩く必要がなくなります。
これまでのUSBコネクタとの互換性について
USB Type-Cコネクタを持つ機器は、これまでのUSBコネクタを搭載した機器とも問題なく接続することができます。
例えばマイクロUSB BコネクタとUSB Type-Cとの変換ケーブルやアダプタを使えば、マイクロUSB Bコネクタを持った周辺機器やスマートフォン・タブレットなどをUSB Type-C搭載のパソコンなどで使用できます。また、USB AコネクタとType-Cコネクタを両端に持つ変換ケーブルを使えば、Type-Cコネクタを搭載したパソコン本体・タブレット・スマホへのUSB Aコネクタによる充電が可能です。 また、USB Type-CコネクタとUSB Aコネクタが混在するUSBハブを使えば、USB Type-Cポートを塞ぐことなく、以前使用していたマウス・キーボードなどのUSB機器を接続できます。USB Type-CコネクタとUSB Aコネクタのどちらでも使えるフラッシュメモリなど、この他にもいろいろな種類の製品が登場しています。
※ディスプレイなどAlternate Modeで動作する機器には対応していません。
※USB Aコネクタメスの出力端子を持つ充電器などに使用した場合、最大出力はDV5V 1A以下となります。
※Quick Charge、USB PDでの充電には対応しません。
電源供給も映像出力も1本のケーブルで可能!
USB Type-Cは、USB規格以外の信号を流すことができ、電源供給や映像出力も可能です。
オルタネートモードに対応したUSB Type-Cは、映像信号を流すことができます。HDMIケーブルではなくType-Cケーブルでディスプレイに映像を出力することができるのです。
Apple製品などに採用されているUSBよりも高速なインターフェース「Thunderbolt」は、「Thunderbolt 2」までMini DisplayPortのコネクタを使用していましたが、Thunderbolt 3ではUSB Type-Cコネクタに変更され、USB Type-Cのオルタネートモードを利用して実装されています。
さらに、USB PD(USB Power Delivery)規格に対応したType-Cは、使用する機器に合わせた5段階の電圧で最大240Wまでの電源供給が可能です。
Type-C端子に対応した充電規格 USB PDってなに?
USB PD(USB Power Delivery)とは、最大240Wまでの出力に対応する、USB Type-C端子に対応した電源供給の規格のことです。従来のUSB 3.0では4.5Wまでの電源供給が可能でした。しかし、USB外付け式のハードディスクや液晶ディスプレイなど多様なデジタル機器を動かそうとすると、従来の5Vのみの給電では必要な電力が得られませんでした。
これらの高出力の電源供給が必要な機器のために、USB Implemeters Forum(USB-IF)というUSBの規格作成団体により策定された規格が「USB PD」です。使用する電力に合わせて、5V、9V、15V、20V、48Vの基本の5電圧が設定され、最大100Wまでの電源供給が可能になりました。また、2021年5月には48Vに対応した新規格「USB PD EPR(USB Power Delivery Extended Power Range)」が登場しました。USB PD EPRに対応している場合は最大で240Wまでの出力に対応します。
※導入する際は、すべてのUSB機器がUSB PD規格に対応する必要があります。60Wを超える電力で出力する場合は、20V/5A給電に対応したUSB Type-Cケーブルが必要です。
- PD 100W
- USB3.2 GEN2
- PD 60W
- USB3.2 GEN2
- PD 60W
- USB3.2 GEN2
- PD 60W
- USB2.0
(1.5m・LED付)
急速充電のしくみ
Type-Cコネクタには、機器に関する情報だけを通信する「CC」という専用の信号ラインがあります。
USB PD対応充電器に機器が接続されると、このCCラインを通じて充電器と接続機器間で情報が自動で交換されます。
(そのため、CCラインを持たないUSB A-Type-Cケーブル、micro USB端子を持つ機器ではUSB PD急速充電を行うことができません。)充電器からは供給能力が、接続機器からは要求する電圧・電流が送られ、供給電圧・電流が充電器と接続機器の間で決まることで5V以上の電圧に切り替わり、USB PDの急速充電が始まるのです。
USB Type-Cポート搭載機器は、どんなものがあるの?
MacBook Pro・MacBook Air
現在発売されているMacBook Pro・MacBook Airは、充電用・外部接続用端子がUSB Type-Cのみに集約されているので、ケーブル1本で充電・データ転送・映像出力が可能です。USB Type-Cコネクタは、従来のUSB 3.0端子より薄く小さいのでMacBook本体もさらに薄型になりました。
より便利に使うにはUSBハブやドッキングステーションを活用しましょう。USBハブは複数のUSB機器を接続でき、USB Aの周辺機器も接続可能です。ドッキングステーションは、MacBookを充電しながら複数のUSB機器を接続できます。USBハブ、HDMI出力、音声出力などの様々なポートを増やせます。
iPhone
2023年9月に発売されたiPhone 15シリーズは、Lightning端子が廃止になりUSB Type-Cが初めて搭載されました。
MacBookやiPadはもちろん、ノートパソコンやスマートフォン、モバイルバッテリーなど多くの機器がUSB Type-Cを採用しているため、iPhoneの充電のためだけにLightningケーブルを持つ必要がなくなり、1本のケーブルを使い回すことができます。
iPad
2023年4月現在、第9世代以外の現行iPadはUSB Type-Cコネクタを採用しています。USB Type-Cコネクタを採用したことでUSBハブやカードリーダー、マウスやキーボードを使用出来るようになりました。
Surfaceなどのパソコン
USB Type-Cが搭載されたノートパソコンも数が増えてきました。対応機種の代表的な例として、Surface Pro9、Surface Laptop 5などがあります。
Xperiaなどのスマートフォン・タブレット
MacBookに続き、スマートフォンやタブレットもUSB Type-Cポート搭載の機器が増えてきました。コネクタが上下左右どちらの向きでも挿せるので、頻繁にケーブルを抜き挿しするスマートフォン・タブレットには魅力的なポイントです。
新型Xperiaの場合、充電ケーブルは別売なので新しくUSB Type-Cの充電ケーブルを用意しましょう。お手持ちのマイクロUSBケーブルを使いたい場合は、マイクロUSBコネクタをType-Cコネクタに変換できるアダプタを使えば接続できます。