オフィス家具の選び方(材質・塗装の特長)
家具は様々な素材を用いて作られています。
家具の材料・表面処理・構造など、用途に合わせた家具選びに役立つ知識をご紹介いたします。
※木口材:木材を切断した側面の断面のことを「木口」といい、「木口材」は木口を隠すための材料です。
天然木やメラミン、PVC、ABS樹脂などの材質が使われます。
1.家具の材料
木材
【天然木】《表面材、木口材、芯材》
原木から切り出したまま加工されていない天然木を「ムク材」といい、細長い棒状の木材を貼り合わせて板状にした天然木を「集成材」といいます。
いずれも天然の木材なので、同一商品でも木目や色などが微妙に違います。
一般的に表面を研磨したあと、塗装仕上げかオイルを塗り込めて仕上げます。
【天然木化粧合板】《表面材》
一枚板や集成材の天然木を薄くスライスし、合板に貼り付けたもので「突板」ともいわれます。天然木同様表面を研磨したあと塗装等で仕上げると、天然木と同様の風合いを味わうことができます。
【メラミン化粧板】《表面材、木口材》
メラミン樹脂の表面に木目や単色の柄をつけたもので、一般的には合板に貼り付けて使用します。かたくて耐摩耗性と耐熱性にも優れているので、テーブルの表面材として多く使用されます。
【ポリエステル化粧合板】《表面材》
合板に木目等を印刷した紙を貼り、その上からポリエステルをコーティングしたものです。表面がプラスチックで覆われているので、ある程度の強度があります。
ぞうきんがけなどにも耐えられますが、衝撃には強くありません。
【PVCシート】《表面材、木口材》
木目等の柄を印刷した塩化ビニールのシートに熱をかけて柔らかくし、形状を作ったMDFに空気圧で圧着したものを、「PVCの真空成型」と言います。
端面にまで廻し込んで接着できますが、強度に若干弱い面があります。
【繊維板】《芯材、構造材》
一般的にはMDFともいわれ、木材や植物の繊維を高温高圧で板状に成形したものです。素材が緻密できめ細かいため、端面も機械加工で成型することができ、そのまま塗装して使用することもできます。
【パーティクルボード】《芯材、構造材》
木材の小片(ウッドチップ)を熱と圧力で板状に成型したものです。方向性がなく品質は安定していますが、端面は荒いため塗装できず、エッジを貼り付けるなどの別処理が必要です。また、端面にはネジが効きません。
表面にメラミン樹脂を塗布したものもあります。
【ベニヤ板】《表面材、芯材、構造材》
薄く切った木材を接着した木材を「合板」といい、一般的に「ベニヤ板」と呼ばれます。
ベニヤ板に使われている木材の種類は大きく分けると「ラワン」「シナ」「針葉樹」の3つがあります。
「ラワン」は表面がざらざらしていますが、硬度があって丈夫なので芯材にも使われます。
「シナ」は表面がきれいなので、表面材としても使用されます。
「針葉樹」は独特な模様の木目が特徴的で、壁や内装材の一部として使用されます。
ベニヤ板は他の木材に比べて安価で、強度も高いだけでなく、厚さの種類が豊富です。
【プリント合板】《表面材》
合板に木目や単色の柄を印刷した紙を貼り付けたものです。安価ですが表面が柔らかく、頻繁なぞうきんがけや粘着力の強いテープ等で表面の印刷面がはがれます。
家具の側面など、あまりメンテナンスの必要がない所に使用されます。
2.表面処理
木材
【ポリウレタン (PU) 塗装、ウレタン塗装】
薄くて硬いウレタン樹脂の膜を木の表面に作る塗装です。傷や汚れが付きにくく、熱や水にも強い高級仕上げです。
【ポリエステル樹脂塗装】
厚塗りができて光沢がよい塗装です。耐光性や対薬品性に優れている反面、衝撃には弱いです。
ピアノ等の塗装に使われています。
【ラッカー塗装】
木質感を出すことができる塗装です。日常で付く傷や汚れは防ぐことができますが、熱いものや水滴のついたビンなどを置くと、白い跡が残ります。
【UV塗装】
臭いがなく、使う人にも環境にも優しい塗装です。塗膜が硬く、対摩耗性、対薬品性、耐熱性に優れています。
3.構造
【フラッシュ構造】
木わくをパーティクルボード等で作り、両面に化粧合板やメラミン板を貼ったものです。中空になっているため軽く、扉等のパネルに使われます。
【ハ二カム構造】
木わくの中に、クラフト紙のハ二カム状のものを入れて両面を化粧板やメラミン板で仕上げたものです。強度があるのでテーブルトップにも使われます。
【ベタ芯構造】
MDFやパーティクルボードなどを芯材に使用し、表面にプリント紙や合板などの板を貼ったものです。
似たような構造のフラッシュ構造とは異なって中空がないので重量がありますが、その分強度があります。